業界の裏側コラム
夏、冷房が効きすぎる店・ちょうどいい店
夏の店選びで、味や価格ほど語られないのに体験を大きく左右するのが『店内の温度』だ。2026年6月、梅雨明けが近づき蒸し暑い名古屋では、冷房の効き方ひとつでデートや会食の印象が変わる。そしてこの効き方は、店の業態でかなり予測がつく。
まず前提として、クールビズで言われる『28℃』は室温の目安であって、冷房の設定温度ではない。環境省は外気温や湿度、建物の状況に応じた無理のない室温管理を呼びかけており、設定温度を1℃変えるだけで冷房の消費電力は約13%動くとされる。つまり店側は『冷やしすぎ』と『暑い』の間で、コストと快適さの綱引きをしている。
その綱引きの結果は、業態で傾向が出る。鉄板焼き・焼肉店は熱源が多く、強めの冷房になりがちだ。ただし吹き出し口の近くと鉄板の前で寒暖差が大きく、席によっては『上半身は寒いのに手元は暑い』が起きる。薄手の羽織りものが一枚あると安心な業態だ。
対して寿司・割烹のカウンターは適温重視。ネタの状態と客の快適さの両方に効く温度に管理されているため、極端に寒い店は少ない。職人が一日中立つ場でもあるので、過度な冷房は嫌われる。個室は席ごとに調整しやすく、会食やデートで温度の読めなさを避けたいなら最も無難な選択になる。
実用的なコツは予約のときにある。『窓際を避けたい』『熱源から少し離れた席を』と一言添えるだけで、当日の快適さは変わる。真夏のランチに2,000円前後で長居したいカフェなら、席の位置で体感がまるで違う。店内温度は文句を言う対象ではなく、業態を知って先回りで選ぶもの——そう捉えると、夏の名古屋の外食はぐっと快適になる。
Inside Perspective — 業界人の目利き
- クールビズの28℃は『室温の目安』で設定温度ではない。設定1℃で消費電力は約13%動く
- 鉄板・焼肉は強冷房になりがちで席の寒暖差が大きい。羽織り一枚が安心
- 寿司・割烹カウンターは適温重視、個室は調整しやすい。会食・デートは個室が無難