今日の1軒

栄『リサールコーヒー』日本初出店——業界人が読むカフェ400円の設計

2026年8月4日 (火) 今日の1軒 編集部

2026年8月3日、栄駅から徒歩3分の大津通沿いに韓国発のエスプレッソ専門店『リサールコーヒー』が日本初出店した。看板のカフェ オネローソは400円、ピチカーティは200円。栄大津通の家賃でこの価格帯をどう成立させるのか。約40名収容のうちスタンディングを厚く取り、平日は朝7時半に開ける設計に、答えが出ている。

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この記事はNAGOYA BITES — 名古屋の厳選1,100店超を業界視点で紹介するグルメガイドの一部です。

2026年8月3日、栄駅1番出口から北へ徒歩3分、大津通沿いのビル1階に『リサールコーヒー 名古屋店』が開いた。韓国発のエスプレッソバー「Leesar」の日本1号店で、運営元は7月15日にプレスリリースで出店を発表している。群れで支え合う共生をテーマにした狼のロゴ、イタリア LA SANMARCO のスプリングレバー式マシン——見た目の話題性は十分だが、業界人が最初に見るのはメニュー表の数字だ。

400円という価格帯をどう成立させるか

看板のカフェ オネローソが400円、ピチカーティが200円。ティラミスが900円で、全体はおおむね350〜1,500円に収まる。栄の大津通沿いという名古屋でも屈指の家賃帯で、この単価は正面から見ると成立しない。ドリンク単品だけなら客単価は600〜700円圏で、1席を1時間占有されたときの時間当たり売上は、都心のカフェとしては明らかに薄い。

だからこの店は、単価ではなく回転で取りに行っている。約30席に加えてスタンディングを含めると最大40名収容という構成は、座って粘る客と立ち寄って出ていく客を意図的に混ぜる設計だ。エスプレッソは飲み切りまでが短い。イタリアのバールと同じで、200円の一杯を立ったまま数分で飲んで出る客が回転を作り、900円のティラミスを頼む客が単価を積む。価格表が二層構造になっている。

オペの裏側——レバー式マシンと開店時刻

スプリングレバー式のマシンは、1杯ごとに手でレバーを引く。抽出のばらつきが個性になる一方、ピーク時のスループットは確実に落ちる。行列が伸びたときに詰まるのはここだ。立ち席を厚く取ってあるのは、その滞留を席で吸収するためだと読むのが自然だろう。

営業時間の切り方も分かりやすい。平日は7:30開店で、栄のオフィス出勤動線を朝一で拾う。土曜は10:00開店、日曜は10:00〜18:00と閉店を約3時間前倒しする。曜日ごとに客層が入れ替わることを前提に、人件費を張る時間帯だけ張っている。予約は取らない完全ウォークインなので、繁忙は朝の出勤帯と夕方の買い物帰りの二山になるはずだ。落ち着いて飲みたいなら平日の14〜16時が狙い目になる。

もうひとつ、紅茶やジュースを置いていない点は見逃せない。メニュー幅を捨てれば仕込みも在庫も教育コストも軽くなるが、同時に「コーヒーを飲まない同伴者」を切ることになる。単独店として、かなり攻めた判断だ。

シーン適性——誰と行く店か

向くのは一人の時間と、待ち合わせ前の30分。立ち席主体で回転前提の設計だから、ノートPCを広げる長居や打ち合わせには向かない。デートで使うなら、栄で買い物や食事に向かう前の一杯として挟むのが正解だ。接待にはまず使えない。落ち着いて話を詰める場ではなく、コーヒーそのものを飲みに行く店として組み立てられている。

直近の栄は、大手チェーンのハイエンド業態や海外ブランドのカフェが相次いで出店しているエリアでもある。そこへ、単価400円で、しかもコーヒー一本に絞った店が海外から入ってきた。喫茶文化の厚みで知られる名古屋で勝負を挑む場所として、栄・大津通は悪くない選択だと思う。

Inside Perspective — 業界人の目利き

  • 価格帯の読み方: 200〜400円のドリンクで回転を作り、900円のティラミスで客単価を積む二層構造。ドリンクのみなら客単価600〜700円圏で、栄の家賃を考えると滞在時間の短い客が収益の主役になる。
  • オペの裏側: スプリングレバー式マシンはピーク時のスループットが落ちる。約30席+スタンディングで最大40名という席構成は、その滞留を立ち席で吸収する設計。平日7:30開店・日曜18:00閉めは、人件費を張る時間帯を曜日で切り分けた結果。
  • シーン適性: 一人の時間と待ち合わせ前の30分に向く。予約を取らない完全ウォークインで回転前提のため、長居の作業・打ち合わせ・接待には不向き。デートなら食事前の一杯として挟むのが正解。
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リサールコーヒー 名古屋店

カフェ / エスプレッソ専門店 栄(名古屋市中区錦3-14-10 Heriter栄大津通1F)

韓国発『Leesar』の日本初出店。2026年8月3日オープン。カフェ オネローソ400円、ピチカーティ200円。約30席+スタンディングで最大40名収容。平日7:30〜20:45/土10:00〜20:45/日10:00〜18:00。