今日の1軒
名駅・焼鳥90円の「鳥ぶら」名駅東口店、一人飲みでいくらになるか
焼鳥1本90円、生中190円。8月10日にグランドオープンする鳥ぶら名駅東口店の数字だけを見ると、いわゆるセンベロに見える。ところがホットペッパーに載る同店の価格帯は2,001〜3,000円だ。この差はごまかしではなく、この業態の設計そのものを表している。業界人の目で、実際に払う額とシーン適性を読み解く。
この記事はNAGOYA BITES — 名古屋の厳選1,100店超を業界視点で紹介するグルメガイドの一部です。
合わせて読む
焼き鳥10選 →2026年7月31日に出た発表によると、焼鳥酒場「鳥ぶら」の名駅東口店が8月10日(月)にグランドオープンする。全国200店舗を展開する「新時代」の兄弟ブランドで、名駅エリアでは3店舗目だ。売りは分かりやすい。焼鳥1本90円から、生中190円。オープンから4日間は、メガ以外のドリンクが終日1杯94円(税込103円)になる告知も出ている。
90円が成立するのは、串ではなくドリンクで回収しているから
この業態を見るとき、業界人がまず確認するのは串の値段ではなく、その串をどう作っているかだ。鳥ぶらは国産の生肉だけを使い、生産から串打ちまで一度も冷凍しないと明言している。これは味の話であると同時に、コストの話でもある。冷凍の既製串を仕入れれば店内の仕込みはほぼゼロになるが、生串打ちは毎日そのぶんの人時が乗る。90円という単価は、その人件費を串の粗利では回収していないことを意味する。
ではどこで回収するか。ドリンクだ。生中190円も原価だけ見れば薄いが、居酒屋の利益はドリンクの杯数で積み上がる。串が安いほど客は長く座り、杯数が伸びる。90円の焼鳥は商品というより、滞在時間を作るための装置だと考えたほうが実態に近い。
実際の会計は2,000円台に着地する
ここが価格帯の読み方で一番大事なところだ。1本90円という数字だけを見ると、千円で酔える店に見える。ところが同店のホットペッパー掲載の価格帯は2,001〜3,000円である。この差はごまかしではない。串を8本頼んで720円、生中を4杯で760円、これに一品を二つ足せば、ごく普通に2,000円台の半ばに着地する。
つまりこの店は「安く済ませる店」ではなく「同じ額でいつもより長く座れる店」だと理解しておくといい。逆に、あまり飲まない人が串だけで満腹まで頼むと、金額は確かに安いが、店の設計からは外れた使い方になる。コスパの見分け方は単価の安さではなく、自分の飲み方と店の収益構造が噛み合っているかで決まる。
同じ看板でも、立地で閉店時間を変えている
オペレーションの違いも面白い。系列の鳥ぶら 名古屋錦本店は久屋大通駅3分で、朝5時まで営業する。繁華街で終電を逃した客を受ける設計だ。対して名駅東口店は国際センター駅4分、営業は17時から翌0時まで。名駅は帰宅動線の街だから、深夜まで引っ張るより終電前の回転を取りにいく。同じブランドでも立地で客層を読み替えているということで、これは名駅に3店舗を集めるドミナント出店とも噛み合っている。仕込みと人の融通を近い距離で回せるから、生串打ちの手間を抱えたまま店数を増やせる。
一人飲みには向く、接待には向かない
シーン適性ははっきりしている。一人飲みとサク飲み、それに二次会には向く。一品あたりの単価が小さいぶん、一人でも頼む量を細かく調整できるからだ。逆に接待には向かない。価格の安さが相手への敬意の薄さに読み替えられるリスクがあるうえ、この手の店は基本的に賑やかで、込み入った話をする場所ではない。
予約について実務的な話をひとつ。オープン記念でドリンクが94円になる8月10日から13日は、まず間違いなく混む。落ち着いて味を見たいなら2週目以降か、17時台の早い時間に入るのが現実的だ。新店は最初の2週間、オペレーションがまだ固まっていないことも多い。名駅の焼鳥の選択肢が一つ増えたことは素直に歓迎したいが、慌てて初日に行く必要はない。
Inside Perspective — 業界人の目利き
- 焼鳥1本90円は商品というより滞在時間を作る装置。生串打ちの人件費は串の粗利では回収せず、ドリンクの杯数で積み上げる構造になっている
- メニュー単価は90円でも、掲載されている価格帯は2,001〜3,000円。串8本と生中4杯に一品を足せば2,000円台半ばに着地する
- 錦本店は朝5時まで、名駅東口店は翌0時まで。同じ看板でも立地で客層と回転を設計し直している
鳥ぶら 名駅東口店
2026年8月10日グランドオープン。焼鳥1本90円から、生中190円。国産の生肉を一度も冷凍しない生串打ちと、秘伝の塩で仕上げる塩焼鳥が看板。営業は17時から翌0時まで。
鳥ぶら 名古屋錦本店
2025年6月開店の系列店。朝5時まで営業し、終電を逃した客の駆け込みを受ける設計。名駅東口店との営業時間の差が、立地ごとの客層設計をそのまま表している。