今日の1軒

千種・車道のイタリアン「Pizzeria mimi」カウンター12席で1人1ピッツァ

2026年9月24日 (木) 今日の1軒 編集部

2026年9月19日、地下鉄桜通線・車道駅の2番出口から歩いて1〜2分、東区筒井にカウンター12席だけのピッツェリア「Pizzeria mimi(ピッツェリア ミミ)」が開いた。スコーンと焼き菓子の工房「Lycka(リッカ)」の新業態で、生地はパン職人とパティシエの協業。マルゲリータ1,892円、1名につきワンドリンク・ワンピッツァのオーダー制。この価格とこの制度は、12席という箱から逆算すると全部つながっている。

千種・車道のイタリアン「Pizzeria mimi」カウンター12席で1人1ピッツァ
Photo: てんたく / Google Maps

この記事はNAGOYA BITES — 名古屋の厳選1,100店超を業界視点で紹介するグルメガイドの一部です。

「1人1ピッツァ」は、サービスの条件ではなく席の条件

公式Instagram(@pizzeria.mimi)が2026年9月19日(土) GRAND OPENと告知したこの店の席数は、12席。テーブルは無く、全部カウンターである。そして来店時の条件として1名につきワンドリンク・ワンピッツァのオーダー制が置かれている。これは「たくさん頼んでください」という営業上のお願いではなく、12席という箱で商売を成立させるための設計上の条件だ。

ピッツァは、炉に入れてから出るまでが1枚ずつの料理だ。焼き手が1人なら、同時に焼ける枚数も、生地を仕込める量も上限が決まる。客が2人で1枚をシェアする使い方が増えると、席は同じだけ埋まるのに厨房の仕事量と売上だけが半分になる。12席×2回転=1日24人の店で単価が半分になったら、その日はもう取り返せない。1人1枚のオーダー制は、客単価を席数で担保できない小箱が、代わりに「1席あたりの最低売上」を決めている仕組みだと読むのが正しい。逆に言えば、この条件がある店は1枚を一人で食べきる前提で行けばいい。

マルゲリータ1,892円は、名古屋のイタリアン261店のどこに置かれた数字か

価格を見る。マルゲリータ1,892円、チーズを重ねたmimi フォルマッジ2,948円。前菜とパスタもあり、実勢の利用額は2,500〜3,500円あたりに落ちるという(名古屋情報通・2026年9月23日)。当サイトが掲載している名古屋のイタリアン・ピッツェリアは261店で、夜の平均予算が3,000円以下なのは49店(18.8%)、いちばん厚い帯は3,001〜5,000円の96店だ。mimi はこの分布のちょうど境目、「イタリアンの中では安い側だが、ピッツァ1枚の店としては安くない」位置に置かれている。

読み方のコツは、コース有無ではなくアラカルトの積み上がり方で見ることだ。マルゲリータ1,892円+ドリンク1杯で約2,500円が実質の下限。ここに前菜を1皿足すと3,000円台、フォルマッジを選べばそれだけで2,948円なので、2品で4,000円台に届く。飲み放題の設定は無く、ドリンクは都度会計なので、ワインを2〜3杯進めるつもりなら予算は5,000円前後で組んでおくと外さない。「1,892円の店」だと思って行くと、支払いは倍になる。

その1,892円という値付け自体は、2026年時点ではかなり踏ん張った数字である。帝国データバンクの集計では、2026年1〜6月の食品値上げは累計4,493品目、年間の平均値上げ率は15%に達した。小麦も例外ではなく、日清製粉ウェルナは政府の小麦売り渡し価格改定を受けてパスタなど212品を値上げしている。粉・チーズ・オリーブオイルが同時に上がる局面で、看板の1枚を1,900円未満に置いたのは、原価率を守るために1人1枚を条件化したこととセットで理解すべきだ。

Pizzeria mimi(車道(名古屋市東区筒井))の店舗写真
Photo: Pizzeria mimi — にわ. / Google Maps

週5日、夜が主役。土日だけ昼を開ける

営業は水木金が17:00〜22:00(料理L.O.21:00)、土日が11:00〜14:00(L.O.13:30)と17:00〜22:00の二部制、月曜・火曜が定休。週5日で、昼を開けるのは土日だけという設計だ。小箱のピッツェリアが週7日・昼夜通しをやると、生地の発酵管理と焼き手の体力のどちらかが先に壊れる。コマを絞って夜に寄せるのは、12席・カウンターのみという条件下ではむしろ正攻法である。

母体を見ると、この設計の理由がもう一段わかる。運営元のLycka(リッカ)はスコーンと焼き菓子の工房で、名古屋の百貨店催事やオンラインで売ってきた作り手だ。粉を計り、水和させ、発酵を待ち、高温で焼く——菓子とピッツァは工程の骨格が同じで、生地が「高加水で厳選した小麦」と説明されているのもその出自による。食後にスコーンや焼き菓子を店頭で買って帰れるのは、1つの製造技術を2つの売り方(店内の料理と、持ち帰る焼き菓子)で二度使う商売だからだ。12席しか無い店が家賃と人件費を回すには、この二毛作は理にかなっている。

向くシーン、向かないシーン

結論から言えば、一人飲みとデートに向き、接待と宴会には向かない。理由は席の形そのものにある。12席が全部カウンターということは、3人以上は横一列になり、4人を超えたら会話が成立しない。相手を上座に通す・全員の顔を見て話す、といった接待の作法が物理的に取れないので、会食に使う店ではない。大人数の宴会は最初から対象外だ。

逆に、カウンターだけの店は一人客にとって最も入りやすい形で、1人1枚のオーダー制がある以上「一人だから頼みにくい」も起きない。デートなら2人でカウンターに並んで座り、別々のピッツァを1枚ずつ頼んで、ひと口交換するのが正解の使い方になる。2人で1枚をシェアして軽く済ませるという前提だけは、この店では成り立たない。

予約と時間帯も先に言っておく。開店直後の店で、昼をやるのが土日だけとなると、混み合うのは土日11時台と金土の19〜20時に集中する。ゆっくり座りたいなら水木の17時台〜18時台が最も静かだ。料理のラストオーダーは21時なので、二軒目として22時前に飛び込む使い方はできない。一軒目・その日の主役として時間を取る店である。

Pizzeria mimi(車道(名古屋市東区筒井))の店舗写真
Photo: Pizzeria mimi — てんたく / Google Maps

読者側の使い方

1. 空腹で行く。1人1ピッツァが条件なので、直前に何か食べてから「軽く1枚シェア」はできない。2. 予算は1,892円ではなく2,500〜5,000円で見る。ドリンクが都度会計で飲み放題が無いぶん、飲む量が支払いに直結する。3. 大人数・接待の候補には入れない。12席カウンターのみという構造上の制約で、店側の努力で解決できる話ではない。宴会や会食の店を探しているなら名古屋のイタリアン特集から箱の大きい店を当たったほうが早い。4. 一人で行くなら、カウンターの店をまとめて比べる。一人飲みの特集と千種・今池エリアの一覧に、同じ使い方ができる店が並んでいる。

2026年9月時点で、車道・千種の周辺はイタリアンが薄いエリアではない(当サイト掲載で大曽根・千種・今池圏に33店)。その中でカウンター12席・1人1枚という条件を先に出してきた店は、「誰に来てほしいか」を開店の日から言い切っている。値付けも営業日も席の形も、全部その一貫した答えになっている。業界人が選ぶ店という見方をするなら、こういう設計の筋が通った小箱は、開いて1週間でも信用していい部類だ。

Inside Perspective — 業界人の目利き

  • 「1人1ドリンク1ピッツァ」は客へのお願いではなく、12席の小箱が客単価を守るための設計条件。ピッツァは1枚ずつしか焼けないため、シェアが増えると席は埋まるのに売上だけ半減する。
  • 実勢予算は2,500〜3,500円。マルゲリータ1,892円は名古屋のイタリアン261店のうち下位2割(3,000円以下は49店=18.8%)寄りだが、飲み放題が無くドリンク都度会計なので、飲むなら5,000円前後で見ておく。
  • 全席カウンター12席は接待・宴会が物理的に取れない形。向くのは一人飲みとデートで、混雑は土日11時台と金土19〜20時に集中する。静かに座るなら水木の17〜18時台。
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Pizzeria mimi

イタリアン・ピッツェリア 車道(名古屋市東区筒井)

地下鉄桜通線・車道駅2番出口から徒歩1〜2分、東区筒井3-29-12 第三貞和ビル1階。カウンター12席のみ。2026年9月19日開店。マルゲリータ1,892円、mimi フォルマッジ2,948円、実勢2,500〜3,500円。1名につきワンドリンク・ワンピッツァ制。水木金17:00〜22:00(料理L.O.21:00)、土日11:00〜14:00(L.O.13:30)+17:00〜22:00、月火定休。スコーンと焼き菓子の工房「Lycka」の新業態。