週次の話題店ダイジェスト

名駅の一人飲み、99円の居酒屋「どての大黒」とBEL BUTTER WAFFLE

2026年9月21日 (月) 週次話題店 編集部

2026年9月の名古屋駅は、新店より先に人の流れが変わった。16日にヨドバシカメラ マルチメディア名鉄名古屋店が約11,900平方メートルで開業し、その前日15日には西口の椿町に立呑み「どての大黒」が開店。25日には地下街サンロードに「BEL BUTTER WAFFLE」が名古屋初出店する。どちらも席で稼がない低単価の新店だ。業界人の目で、この並びを読む。

名駅の一人飲み、99円の居酒屋「どての大黒」とBEL BUTTER WAFFLE
Photo: 提供 株式会社DAY TO LIFE(プレスリリースより)

この記事はNAGOYA BITES — 名古屋の厳選1,100店超を業界視点で紹介するグルメガイドの一部です。

9月15日、名駅西口に「どての大黒」が開いた

名古屋駅西口(太閤通口)から徒歩3〜4分、中村区椿町8-10の木全椿町ビル。2026年9月15日に開いた立呑み どての大黒は、どて串と味噌おでんを軸にした名古屋めしの立ち飲みだ。価格はどて串99円、あぶら串143円、串カツみそ121円、えび串カツみそ319円、どておでんが176円から242円、どて味噌きしめん572円。単品のほとんどが100円台で並ぶ。営業は15時から24時(L.O.23時30分)、定休日なし。

価格の読み方で押さえたいのは、2階の座席に「1名につき席料88円」が付くことだ。1階は立ち飲みで席料がない。串を5本と飲み物を2杯で1,000円台前半に収まる設計だから、88円は金額としては誤差に近い。それでも取るのは、立ち飲みの売上が「1人あたりの滞在時間」で決まるからだ。座りたい人から少額を受け取って座席側へ誘導し、立ち席の回転を守る。客単価を上げるための値付けではなく、オペレーションを守るための値付けである。

椿町8丁目に「大黒」が3軒あるという事実

この店を単独の新店として見ると、話の半分を取り逃がす。2026年9月時点で、同じ椿町8丁目には系列の立ち飲みがもう2軒ある。椿町8-12の「立呑み 焼きとん 大黒 椿町店」(Google Maps の評価4.6・口コミ1,026件)、椿町8-6の「立呑み 焼きとん 大黒 名駅西口店」(同4.1・612件)。そこへ8-10のどての大黒が加わった。同じ資本の立ち飲みが、ひとつの街区に3軒である。

飲食側の視点では、これはカニバリではなく設計だ。狙いは3つある。満席になった客を他店に逃がさず自社で受けること、仕込みと人員を店間で融通できること、そして酒と食材の物流を1便にまとめられること。運営する光フードサービスは2024年2月28日に東証グロース・名証ネクストへ上場した名古屋発の立ち飲みチェーンで、出店効率を積み上げる設計思想がそのまま街区に出ている。読者側の実利は単純で、1軒目が混んでいても、30秒歩けば次がある。名駅西口で待たずに飲みたい日に効く。

9月25日、地下街サンロードに250円のワッフル

同じ週のもう1軒は、駅の反対側の地下にできる。BEL BUTTER WAFFLE 名古屋サンロード店が9月25日にオープンする。ベルギー・リエージュ式の焼きたてワッフル専門店で、東京の2店舗に続く3店目、名古屋初出店。看板のプレミアムバターワッフルは250円(税込)、営業は10時から20時、テイクアウト対応だ。

地下街の業態は、席で稼がない。坪あたりの家賃が高く、通行量だけが桁違いに多いからだ。席を置けば坪効率は落ち、滞留した客が動線を塞ぐ。だから「滞留させない」ことが正解になる。もうひとつ読めるのが閉店時刻で、20時終了は夜の売上を捨てて朝から夕方の通過客に賭けた設計だ。実用面でいえば、20時以降の新幹線に乗る日の手土産には間に合わない。使うなら夕方までに寄る。

BEL BUTTER WAFFLE のワッフル焼成(プレスリリース提供写真)
Photo: BEL BUTTER WAFFLE 名古屋サンロード店 — 提供 株式会社DAY TO LIFE(プレスリリースより)

ヨドバシ開業が名駅に置いていったもの

この2軒の間に挟まるのが、9月16日のヨドバシカメラ マルチメディア名鉄名古屋店の開業だ。2026年2月に閉店した旧・名鉄百貨店本店の居抜きで、名鉄ビルの地下1階から地上4階、総売場面積は約11,900平方メートル(約3,600坪)。9時30分から22時まで年中無休、名鉄名古屋駅と名鉄バスセンターに直結する。

飲食の観点で注目すべきなのは、公表された内容にレストランフロアの記載が無いことだ。滞在時間の長い買い物客を集める装置が名駅の南東側にできたのに、その館内で食事を済ませる導線は用意されていない。つまり腹を空かせた人が館の外に出てくる。西口の立ち飲みと地下街のテイクアウトは、ちょうどその受け皿の位置に並んだことになる。

使い分け — 一人飲み、二軒目、手土産

新幹線まで30分しかない日は、どての大黒の1階が効く。立ち飲みは着席を待つ時間がゼロで、どて串とおでんなら提供も速い。二軒目や遅い時間の一人飲みなら24時までという営業時間が価値になるが、金曜の21時以降は椿町の3軒がまとめて混む。手土産や小腹はサンロードの250円ワッフル。ただし20時で閉まるので夜には向かない。

今週の名駅は、「どこで座るか」ではなく「どこで立ち止まるか」で店が選ばれる週だった。99円と250円という値札は、その設計の結果として出てきた数字である。

Inside Perspective — 業界人の目利き

  • 2階の席料88円は客単価を上げるためではなく、立ち席の回転を守るための値付け。立ち飲みは1人あたりの滞在時間が売上を決めるため、座りたい客を少額で座席側へ誘導する
  • 同一ブランドを1ブロックに固めるドミナント出店は、カニバリの損より「満席の逃がし先を自社で持つ・人員と仕込みを融通する・物流を1便に束ねる」の利得が勝つ判断。客側の実利は『待たない』こと
  • 地下街のテイクアウトが20時に閉まるのは、夜の売上を捨てて朝から夕方の通過客に賭けた設計。手土産用途なら夕方までに寄る必要がある
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立呑み どての大黒 椿町店

居酒屋(立ち飲み・名古屋めし) 名駅

2026年9月15日オープン。どて串99円・串カツみそ121円・どて味噌きしめん572円。1階は立ち飲み、2階座席は1名につき席料88円。15:00〜24:00(L.O.23:30)・定休日なし。名古屋駅西口から徒歩3〜4分(中村区椿町8-10 木全椿町ビル)。

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BEL BUTTER WAFFLE 名古屋サンロード店

カフェ・スイーツ(テイクアウト) 名駅

2026年9月25日オープン予定の名古屋初出店。ベルギー・リエージュ式の焼きたてワッフル専門店で、プレミアムバターワッフルは250円(税込)。10:00〜20:00・テイクアウト対応。ナゴヤ地下街サンロード(中村区名駅四丁目7番25号先)。